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<”ちび”の部屋>


              昭和55年(1980年)12月、日野市に自宅を購入した時、何故か<子犬>が

        ついていた。

              5〜6匹いた中で一番小さく、なかなかお母さんおっぱいにありつけず、いつも

      一番うしろの方でもたもたしていた子を選んだ。

            それが”ちび”だった 。




「ねーねー、おうちに上がっていーい?」  

      「だめーっ」


「ひできくん、邪魔なんだけど。」


「あれーっ、散歩から帰ってきた

  ら、 ひとみちゃんが入ってい

  る。」


「じゃー出てあげる。」

「まゆみちゃん、新聞は外で読

   んでよっ。」

                                    


  

 ”ちび”はみるみる大きくなり、そろそろ犬小屋がちいさくなり始めた頃のこと。

 ”ちび”が小屋のなかでくつろいでいると、それと気づかずに庭に侵入してきた野良

 猫が、”ちび”の小屋の前をゆうゆうと通り過ぎようとするのを見て、「我が家の庭に

 入ってきたばかりか、私の目の前をゆうゆうと横切るとは何事だ!!

  言語道断、そこへなおれっ!」

 とばかり、脱兎のごとく小屋を飛び出そうとした。

 ところが、小屋の出入口が思ったより小さ目だったため、出入口で思いっきりガーン

 と頭をぶっつけてしまった。

 その夜のこと、

 余程頭にきたのか、「うーっ!」とすごい唸り声をあげながら、犬小屋を無残にかみ

 砕き、二度と使えないようにしてしまった。

 その翌日から、彼女は「座敷犬」に昇格し、長寿の道を歩き始めることとなった。

               



「えーっと、この家の中での順位

    は〜っと・・。」


「やっぱ外にいる方が気が楽だ

        なー・・・。」
      

         


<ちびに赤ちゃんが生まれた>



「こんなにた〜くさん生まれた!!」


「この子だけはどこにもあげないで。

  おねがい!」


<大雪> 



 「こんな大雪、生まれて初めてだ!!」  
   

   「雪見酒って美味しいね。」

「わたしは雪もお酒も嫌いっ!!」


<お散歩>



「う〜っ、溺れそうっ」



 

 

「揺れる吊り橋は怖くて歩けない」


「自分ばっか食べてないで、

     私にもちょっと頂戴よ。」


「大菩薩峠に来た〜っ。」
                    

                      

”ちび”は確かに<>を見た!!

 平成元年(1989年)8月、母が亡くなった。

 その翌年、初盆ということで、自宅の前で<迎え火>を焚いた。

 その時、まだ幼かった3人の子供たちに、

 「これで”ちび”の様子が少しでも変わったら、きっとおばあちゃんの霊がこの家にきてるん

 だよ」と冗談を言いながら、火の始末をして家の中にはいると、・・・・・

 ”ちび”の姿が見当たらない・・・・・?

 いつもは、一階の和室に”ちび”専用の座布団を置いてもらって、そこで寛いでいるのだが。

 そこにはいないし、一階のどこを探してもいない。

 念んのため二階に上がってみると、ひとみ(次女)の部屋のベッドの上にいた。

 その目が異様に怯えている。

 普段、二階へは滅多に上がらないばかりか、ひとみの部屋、ましてやベッドの上など、叱ら

 れるのが分かっているので絶対に入ったり上がったりはしない。

 それがどうしたことか、今はそのベッドの上で、何かに怯えたように小さくなっている。

 「何やってんのよ!! そこはあんたの場所じゃないでしょ!!」

 案の定、ひとみに叱られて、一階のいつもの指定席に連れ戻された。

 そして、家族皆んなで夕食をとり始めて、ふと気が付くと、また”ちび”の姿が見当たら

  ない。

 またまた、二階のひとみの部屋のベッドので上、怯えた目をして小さくなっている。

 「あんたの場所はここでしょっ!!」

 と、再びひとみに一階の所定の場所に戻されるが、どうしてもその場所に座ろうとはし

  ない。

 この時、家族の全員が、

 <母の霊が我が家に戻っている>と実感した。

 そして、私は何とかその母親の霊を撮ろうと、カメラで部屋中を撮りまくったが、まったく

  映っていなかった。(やはりデジカメではなく、フィルムのカメラでないとダメか?)

 その日から、その状態がしばらく続いたが、一週間経って、今度は<送り火>を焚いて、

  家の中に入ってみると、何んと、今度は”ちび”がいつもの所定の場所で安心したような

  顔つきで寛いで座っているではないか!!

 この一週間、”ちび”はずーっと<母の霊>を見ていたのだろうと、我が家の5人全員

  は、今でもそう思っている。